ギターの時間、2009年12月25日号
ギターの時間TOPへ | 友達に知らせる


(3)

ギターとマンドリンの器楽デュオ、トレッケル&トレスター。クボタフィロ マンドリーネン オルケスター主催のコンサート本番を前に、クボタフィロのメンバー2人を交えたトーク、最終回です。

(interview&photo:Kazutaka Ebe/transration:Akira Sakamoto)

ーー最後にアマチュアプレイヤーにアドバイスが欲しいんですが。たとえば「音楽的」に演奏するコツってどんなことでしょうか?

トレスター:エモーショナルな演奏に欠かせないのは、そのフレーズ、ハーモニーが、どのくらいのレベルの緊張感をもっているか、その緊張感を意識して演奏することが大事だね。

トレケル:うーん、それで、たとえば、いろんな先生につく。そして同じフレーズでもいろんな表現方法があることを学んで、それをコレクションする。引き出しを作るってことかな。

トレスター:そして人生の中でいろいろな感情の記憶があるよね。きれいな景色にであったとき、美しい人を見たときの感情とか。そういったものをたくさん貯めておくのもいいね。そういう、いわばネタがどれくらいあるか。僕らの中には共通するネタが多いね。

トレケル:だから、彼がこうきたら僕はこういく、自分がこういったら彼はどう来るかな?といったやり取りがお互いを盛り上げていくっていうふうに、ぼくらはやってるね。 

トレスター:それで、1+1は3とか4じゃなくて、対数的に相乗効果で1000にも2000にもなることを学ぶことが大事だと思う。ひとつのフレーズがすべてオペラのような物語を持っている。これは僕の先生がよく僕に言っていた格言なんだけど、それを肝に銘じていろんな努力をすることが大事だよ。 Do your own feeling!

ーーいろんな経験と感情の記憶ですね。

トレスター:そう。あともうひとつ重要なことがあるな。作曲家に会うことができるなら、直接話を聞くことができる。演奏上の重要なこと、作品の背景を聞くことでより具体的な感情を持ち込むことができるようになる。これも重要なことだと思うな。いろんな機会を利用して作品の背景にに迫ること。作家に迫ること。これも重要だと思う。

ーーところでおふたりそれぞれ、どんな人とでも組めますか?

トレスター:プロとしては相手の音が聴こえているならどんな人とも演奏できるよ、でもほんとうに音楽を楽しむためには気持ちの合う人、ウマの合う人とやりたいっていうのはあるな。自分の生徒にもプロとして必要なテクニックは教えるけど、それが全部で来た後は、どうやって楽しくやれる相手を見つけるか、が大事で、これはそのひとその人の個性にも関係してくるね。  もちろんお金さえもらえればどんな人とでもできるさ。でもずっとやってきて、今はやりたくないことはやりたくないしね(笑)。

トレケル:たとえば過去の経験から言うと、ソロ志向の人とやるとコンサート自体はうまくいくけど、そのときだけのことになってしまうよね。その経験も貴重だし、いい思い出になることもある。だからそれはそれでいいと思う。ただ、音楽活動として考えるとき、いつもいっしょにいて楽しいという人を見つけるのはなかなか難しいけれども、一度見つかれば、とても楽しく活動を継続できますね。

ーーところで2人とのリハーサルはいかがでした?

トレスター:とても素晴らしい! 音楽家としても優れているし、楽しく演奏できたし、美人だし!

2人:ありがとうございます(笑)。

高柳:とにかく、サウンドに違和感がなくて自然なんですよ。ギターのリズムもふだんの感じともまた違ってきもちよく乗れるんです。だからトレスターさんのリズムにのっかって、トレケルさんの音と自然に合わせることができていて、弾きながら、「ああ、良い演奏ができそう!」って、こう、高揚するような感じがしてました。

内藤:私はこの曲自体演奏するのが初めてだったんです。しかも二重奏は聴いたことがあったものの四重奏はいったいどうなるのかな?と思ってたんです。早さ、表情の面、いろいろ想像しながら一人で練習していたんですが、初めて四人でやってみて、「あ、こういうふうにやっていくのか」っていうのがすぐにわかって。  トレスターさんとトレケルさんの表情や顔の合わせ方、タイミングの取り方、カンタービレはこういうかんじ、主題はこういうかんじで、とかを探りながらやっていく、その瞬間瞬間が楽しくて。1回目を通して演奏したときは感動しました。

※四人による演奏は、最後の1曲だけではあったものの、名手と若手が相まみえるというよりも、名手に誘われ踊るマドンナを羨望の目で眺めるような・・・。絵になるひとときでした。T&T二人の演奏はもちろん、楽しく聴きごたえあり。マンドリンデュオともギターデュオとも違う、トレスター&トレケルならではの音楽。ギターとマンドリンならではの世界。もっと聞きたい!


(おわり)

▲ DUO TREKEL – TRÖSTER
„en garde!“ Duo Trekel-Tröster, Mandoline und Gitarre (CD Thorofon classics CTH 2469) 2006 Hörprobe: Das Moderato aus "Back to Sirius" von A. C. Miguel
【収録曲目】


▲トップに戻る|最初へ|前へ


▲ DUO TREKEL – TRÖSTER
„en garde!“ Duo Trekel-Tröster, Mandoline und Gitarre (CD Thorofon classics CTH 2469) 2006 Hörprobe: Das Moderato aus "Back to Sirius" von A. C. Miguel
【収録曲目】