ギターの時間、2009年11月24日号
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ギターとマンドリンの器楽デュオ、トレッケル&トレスターは、今秋、大阪マンドリンフェスティバルに出演した後東京でもコンサートを行った。クボタ フィロ マンドリーネン オルケスター主催の一夜では、クボタフィロのメンバー2人を交え、カルテットによる演奏も披露。マンドリンとギターによるコラボレーションの楽しさを伝えるコンサートとなった。
 開演前、リハーサルも終え、リラックスした雰囲気の中、トレスターとトレッケル両氏にギターとマンドリンによる妙味の味わい方を聞いた。まずは、ソロに伴奏に活躍しているトレスター氏愛用のギターについて。

(interview&photo:Kazutaka Ebe/transration:Akira Sakamoto)

ーーそのギターの作者は?

トレスターディーター・ホプフという人だ。ブレイシングはオーソドックスなところと核心的な方法をミックスしているんだ。

ーーすごく愛おしそうに抱えてますね?

トレスター:とても気に入っているよ、うん。

※と、満面の笑み。とにかく話を聞いている最中抱え込んで手放さない。ぜったい話さないぞ、ってかんじ。ほんとうに大切そうに扱っている。とはいえ「弾いてみるか?」と手渡す気さくそうな素振りも見せてくれた。だけど、名手の前ではあまり体たらくな演奏もできず、しかも、そんなに大事そうにしているところを見てるから、なで回すことも躊躇されて、すぐに彼の手に戻してしまったのだった。でも、持ってすぐ気がついたのが重さ。意外と重めのつくりなのだ。そして音離れのよさ。立ち上がりが素晴らしく、音が飛んで行く。弾き込んだ直後ということもあるけれど、思わず、欲しくなるしっとりしたネックの作りとサウンドだ。

 一方、トレケル氏のマンドリンは、アルフレート・ヴォル
Alfred Woll
http://www.woll-mandolinen.de/

 トレッケル氏によれば、このアルフレート・ヴォルはモダン仕様の楽器で、「Solista」という名前のモデルのようだが、ウェブサイトの楽器はヘッドのデザインが違う。もしかする と、基本はSolistaでヘッドだけ「Roma」のデザインにしたものかもしれない。ボウルバックはブラジリアン・ローズウッド、トップはスプルース、ネック はマホガニー、指板はエボニーという仕様。

ーーさて、トレスターさんとマンドリンの付き合いはいつからなんですか?

トレスター:僕は9歳のときからギターを始めたんだが、その時のギターの先生はマンドリンオーケストラも運営していたんだ。そのオケで、ボクはギターパートを弾いていたのさ。
 そのあとバイエルン少年オーケストラ(Das Bayerische Landes Jugend Zupforchester=バイエルン州立少年撥弦楽器オーケストラ)で演奏することになったんだけど、そのとき「君はバイオリンも弾けるか?」と聞かれたので「弾けます」って返事したら、「じゃ、マンドリンも弾けるからマンドリンをやんなさい」って言われて、最初は2ndマンドリンを弾いていたんだ。そのうち1stになり、コンサートマスターも務めたんだ。
 その後、ジークフリートベーレントが、当時もっと大きなマンドリンオーケストラを持っていて、そこでも演奏した。そのオケは越智さんという方がコンサートマスターだったんだけど、彼がいないときは僕がコンマスを務めたりしていたんだ。

ーーああ、もともとマンドリンと親しんでいたんですね!

トレスター:そうなんだよ。僕が最初に日本に来たのは1982年。そのときはドイツのマンドリンオーケストラの一員としてだった。コンサートマスターは越智さん。僕はギターパートとして来たんだ。
 そのあとディートリッヒ・テベスというマンドリンの名手と組んでレコーディングして発売もされたよ。そのテベス氏はトレケルの先生でもあるんだ。

ーーそのへんでトレケルさんとつながって行くんですね?

トレスター:いやその前に僕は最初の奥さんとデユオ・カプリチオーゾを組んで17年活動した。そのデュオを解消して今のデュオになるんだ。

ーーマンドリンとのデュオ活動も長いんですね。

トレスター:このコンビでの活動も評価されて、去年の夏、ポーランドでコンサートをやったとき、ブラジルの作曲家ゴジエロ・デンテロDentelloが見に来てくれていて「素晴らしい。ぜひ僕に曲を書かせてくれないか?」と申し出てくれたんだ。この曲は4日前の大阪国際マンドリンフェスティバルで初演演奏したんだ。

ーープログラムにあった「ソナティナT&T」という曲ですね?

トレスター:そう。このT&Tはトレスター&トレケルのことなんだ。


※「ソナティナT&T」は、耳に心地よい斬新な響きと時折流れる美しい旋律、リズミカルな楽章との組み合わせによる作品。高度にテクニカルな部分も併せ持ちい、両コンサートとも、喝采を浴びていた。


(続きます)

▲ DUO TREKEL – TRÖSTER
„en garde!“ Duo Trekel-Tröster, Mandoline und Gitarre (CD Thorofon classics CTH 2469) 2006 Hörprobe: Das Moderato aus "Back to Sirius" von A. C. Miguel
【収録曲目】


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▲ DUO TREKEL – TRÖSTER
„en garde!“ Duo Trekel-Tröster, Mandoline und Gitarre (CD Thorofon classics CTH 2469) 2006 Hörprobe: Das Moderato aus "Back to Sirius" von A. C. Miguel