ギターの時間、2010年2月9日号
ギターの時間TOPへ | 友達に知らせる


GoMochizuki
ーーいよいよ本番が迫りましたね! 今回のリサイタルについて教えてください。

望月:
大阪国際マンドリン独奏コンクールで1位をいただき、その受賞記念のリサイタルです。

ーープログラムには、望月さんのレパートリーとも言える作品が含まれていますね。

望月:
コンクールで演奏した中から2曲「ナポリ狂詩曲」と「水上の月」を演奏します。 その他は新たな試みのつもりでギターとの二重奏で新たなレパートリーでプログラミングしています。

ーー新作が2曲あるということですが?

望月:
はい。1曲は2009年に行ったコンサート「マンドリンとの遭遇!?」で作曲・編曲などして下さった久保田翠さんにお願いしました。「EXERCISE for TWO PLAYERS」という曲です。
 この作品は2部に分かれていて、どちらも通常のような五線譜を用いません。前半は図形楽譜の中を自由に行き来して、様々な素材を切り取ったり反復したりして演奏します。口で説明するのは難しいですけど。
 後半は予め用意された1つの音源を、演奏者2人がヘッドフォンで聴きながら演奏します。ただしその音源はお客さんには聞こえないというもので、通常のアンサンブルとは別の方法で音楽が同期していくという試みです。でも今の段階ではまだまだどういうステージになるか、演奏者自身にもわからないという・・・。

ーー「マンドリンとの遭遇!?」は私にとってもインパクトのあるイベントでした。すぐに久保田さんにも話を聞いて記事を作らせていただいたくらいです。その時伺ったんですが、久保田さんはふつうに編曲される以外に、電子音楽的な作曲や、現代音楽の作曲手法にも精通されているんですよね? しかし作品は、あまり実験作品くさくないかんじ、というか、むしろかわいい感じの作品もあって、それは楽しみですね。マンドリンが、どのように使われるのか?

望月:
期待してください! もう1曲は、以前よりお世話になっている「水上の月」の作曲者でもある鷹羽弘晃(たかは ひろあき)さんにお願いしました。内容はマンドリンが使われている管弦楽曲を取り出して、マンドリン、ギター、ピアノという珍しい編成の為に再編するという試みです。具体的にはヴェルディの「オテロ」、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」、レスピーギの「ローマの祭り」、プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」といったところです。一般的にはあまり知られていないのですが、こういった作曲家がそれぞれの視点でマンドリンを管弦楽曲の中で使っていまして、その使い方がそれぞれ違っているので、それを聴き比べていただくと面白いと思います。
カラーチェ
▲望月氏愛用のカラーチェ(クリック>拡大)

ーーそれも意欲的ですね。望月さんのソロ・アルバム「ツィガーヌ」でも、ピアノ伴奏というスタイルが聴けますね。一気にアカデミックな匂いがして、あれはすごく新鮮に感じました。そこにさらにギターというのは、聞き逃せませんね。
 共演するみなさんに関してもひとことずつお願いします。

望月:
松尾さんは「マンドリンとの遭遇!?」でご一緒させていただきました。抜群の音楽性を感じていて、今回もぜひに、とお願いしました。堀戸さんは大阪国際マンドリンコンクールで一緒にエントリーした仲です。彼女の演奏には以前から刺激を受けることも多く、審査員からも高く評価されていた方です。
 準備はたいへんでしたが、リハーサルは気持ちのいい緊張感がつねにあって、とにかく自分自身が、今いちばんワクワクしているかもしれません。このワクワクを、ぜひ聴きにきてください。

もちづき ごう:1980年、カナダ・トロント生まれ。慶應義塾志木高等学校マンドリンクラブで3年次にコンサートマスターを務め、同校卒業後も2年間指揮者として関わる。1999年、慶應義塾マンドリンクラブに入部。4年次にコンサートマスター、指揮者を務める。
 2004年、第19回全日本マンドリン独奏コンクール第3位
 2006年、「MUSICA MANDOLINO 合奏コンクール東京」でリベルテを指揮し、第1位、最優秀指揮者賞
 同年、第20回全日本マンドリン独奏コンクール第3位
 前橋マンドリンフェスタ・四重奏コンクールでリベルテ四重奏として第3位
 2009年、第5回大阪国際マンドリンコンクールにて、日本人としては初の優勝(第2位、第3位該当なし)

 マンドリンを片岡道子、越智敬の各氏に師事。読譜を池谷淳子氏に師事。現在、リベルテの代表・コンサートマスターを務める他、For the happiness quintetなどに所属。
 これまでに小穴雄一指揮慶應義塾マンドリンクラブ、今井治人・桜井至誠指揮アンサンブルテスタカルド、岡田司指揮リベルテマンドリンオーケストラ、ライナーシュトゥッツ指揮ザールランドマンドリンオーケストラ等で協奏曲のソリストを務めた他、いくつかの管弦楽団にて賛助出演している。
 NAVI社より、自身が指揮・独奏を務めたリベルテマンドリンアンサンブルのCD「協奏曲集 四季」、独奏の「Tzigane 望月豪マンドリンリサイタル」をリリースしている。


▲ページの先頭に戻る

<関連記事>
久保田翠インタビュー「やさしさの中の強さを求めて。金子みすゞのような」
ステージレポート「マンドリンとの遭遇!?〜7人の若者達による新しい音楽体験」



「ツィガーヌ」
望月豪マンドリンリサイタル
¥2,500(税込)発売中

収録曲目
1.ツィガーヌ (モーリス・ラヴェル/笹崎譲:編曲)
2.無窮動 (桑原康雄)
3.ナポリ狂詩曲 (ラファエレ・カラーチェ)
マンドリン協奏曲 第1番 (ラファエレ・カラーチェ)
  4.第1楽章
  5.第2楽章
  6.第3楽章
7.水上の月 (鷹羽弘晃)
8.ツィガーヌ[ピアノ版] (モーリス・ラヴェル)

望月豪:マンドリン
鷹羽弘晃:ピアノ(3〜8)
リベルテ・マンドリンオーケストラ(1)
岡田司:指揮(1)
奥田恭子:ハープ(1)




■望月 豪マンドリンリサイタル
〜第5回大阪国際マンドリンコンクール
第1位受賞記念〜

2010年2月14日
開演14:30
会場:けやきホール(東京・代々木上原)
入場料:1,000円
共演・堀戸菜々子(p)、松尾俊介(g)
■演奏予定曲目:
R.カラーチェ:ナポリ狂詩曲
A.ピアソラ:タンゴの歴史
鷹羽弘晃(編):マンドリン・オーケストラ・スタディ【委嘱作品・初演】
鷹羽弘晃:水上の月 
久保田翠:EXERCISE for TWO PLAYERS【委嘱作品・初演】
藤井敬吾:マンドリンとギターのためのソナタ