佐藤純一ギターリサイタルが行われた。佐藤は栃木、茨城を中心に活躍するギタリスト。ギター文化館をはじめ地元を基盤とする演奏会、ギター教室での活動をたいせつにしてきた。温かみのある甘い音色、ていねいなアーティキュレーション。年配のギター愛好家からも信頼されている。今回のコンサートは東京進出第1弾、1曲目の魔笛から演奏に惹きつけられた。
プログラムはクラシックギターの代表曲だが、飽きることなく楽しめるのはどれもていねいに大切に演奏されているからなのか。佐藤の人当たりの良さもあって、会場はアットホームな雰囲気に。曲の紹介も交えつつ和やかで楽しいコンサートになった。
使用ギターは若き製作者、田邊雅啓製作、メープルを使用したトーレスモデル650ミリ。演奏者の好みの音までも何度も打ち合わせて実現していく。佐藤の力強い音を、太く、甘く、引き出す。ここにもていねいな仕事が。
大きなエネルギーをコントロールして聴かせている様な印象。
秘めた強大なパワーを、これからもどんどん発揮して欲しい。
Interview
——東京でのコンサートは1回目なんですよね?佐藤:ちょこちょこ演奏するだけなら、何度か東京でもやったことありますけど、自分のリサイタルとしては初めてです。
——そもそもどんな意図で、企画されたんですか?
佐藤:簡単に言うと、ステップアップと自己アピールのためです。
今までに茨城や栃木では数回リサイタルをしてきました。次のステージは東京かなって、なんとなく思ってしまったわけです。
ポップス系の人でこれから世に出たいと思ってる人は、ライブハウスなどで演奏をして自己アピールしてますよね。でもクラシック系の人は、コンクールでタイトルをとった人以外、自己アピールをする場所がまだまだ少ないと思います。ましてコンクールのタイトルがない人がいきなり東京でリサイタルをしても客が入らないだろうと・・・。
だから、コンクールでビッグタイトルがない僕がギタリストとして世に出るためには、ポップス系の人を見習って、まずは近場でライブハウス感覚のリサイタルを数回、その後東京で、という野望があったわけです。
——なるほど。確かにクラシックは特に「〜コンクール第1位」という注目のされかたが多いですが、コンクール以外でも自分の演奏をアピールする方法は考えられますよね。
佐藤:はい。僕のコンサートチケットやCDが1000円なのもこれに関連しています。
いきなり一流の人たちと同じ値段に設定したってしょうがない。 まず人に自分をわかってもらいたいですから、1000円でやっています。
——リーズナブルな価格設定にはそういう理由があったんですね。
佐藤:無名の僕に、一生懸命働いて稼いだ1000円を払ってくださるお客さんに、とても感謝しています。
これからも僕が自分で企画するリサイタルやCDは1000円でやりたいと思っています。お客さんに僕を知ってほしいという思いと感謝の気持ちを込めて。
(続きます)