あれから30年。…ってどこから30年?

11月26日東京オペラシティ近江楽堂で、川口雅行(mand)、佐藤紀雄(g)のデュオリサイタルが行われた。
題して「あれから30年。」どこから30年なのか?

川口氏がドイツ留学から帰国してからの旧知の仲。ところがお互いに活動内容を良く知らないまま、ともに演奏することもなかったという。今回佐藤氏の弟子が企画したことをきっかけに、全国7カ所で公演を行った。東京の公演が最終日であった。
デュオコンサートの企画があがった際、せっかくだから何か新しいことをやろうということで、佐藤氏は二人の作曲家に曲を委嘱した。
ジャズピアニストであり作曲家のMomo氏作曲「空の力3」。力強く壮大で広いイメージの広がる1曲だ。 深澤 舞氏作曲「裸足の雨」は雨の降りはじめからあがっていく様子までを繊細に表現している。 このコンサートのために新曲が2曲生まれたのだ。
他に長谷川きよしの「別れのサンバ」は浜田均氏編曲により、前半のカノンから主題へと洒落た雰囲気。武満徹の3曲は浜田均氏、深澤舞氏、上屋安由美氏が編曲をし、同じ作曲家の曲を3人が編曲するというおもしろい試みであった。30年を経て初めてのデュオコンサートに、新しい作曲や編曲を盛り込む意欲が素敵だ。 また、プーランクの「ソナタ」も印象深い。金管三重奏曲を華やかで、かつ温かみある響きで聴かせた。 演奏技術、音楽性ともに熟練されたふたりだからこその、充実したコンサートであった。

ソナタ:1922(フランシス・プーランク)
別れのサンバ(長谷川きよし〜浜田均)
灰色の瞳(マリアノ・ウナ・ラモス〜上屋安由美)
空の力3(Momo)
タンゴの歴史(アストル・ピアソラ)
三月の歌(武満徹〜浜田均)
ワルツ(武満徹〜深澤舞)
燃える秋(武満徹〜上屋安由美)
裸足の雨(深澤舞)
カルメン幻想曲(パブロ・デ・サラサーテ)